【研究室コラム】ドライクリーニングの品質管理
ランドリーでワイシャツを真っ白に洗い上げるためには、使用する水が飲料水に準じた水質(硬度、鉄分など)であることが基本です。そのうえで、適正かつ適量の洗剤や漂白剤を用い、確立された洗浄フォーミュラ(水深、温度、時間など)に基づいて洗濯を行います。

ドライクリーニングの品質においても、使用する「ドライ溶剤」が適正な状態であることが基本となります。適正なドライ溶剤とは、清浄度が高く、適量のソープと適度な水分を含んでいることです。

【ドライ溶剤の再利用】
ドライクリーニングとランドリーの大きな違いは、使用するのが「水」であるか「溶剤」であるかです。さらに違うのは、使用後に「排水」するか、繰り返して「再利用」するかです。ドライクリーニングでは、洗浄によって汚れた溶剤を廃棄せず、「再生」して繰り返し使用します。そのため、溶剤の清浄度をいかに高く維持するかが重要です。

石油のコールド機※1(洗浄・脱液の機種)では、衣類から落ちる繊維くずや固形の汚れは「フィルター」でろ過して取り除き、衣類から出る染料の色や油性汚れは、活性炭などの吸着剤を用い、再生します。

※1コールド機:洗いと脱液まで行うドライクリーニング機械で、乾燥は乾燥機に移動
石油のホット機※2(洗浄・脱液・乾燥の機種)やパーク機もフィルターを備えていますが、溶剤溶解性汚れの染料や油性汚れは蒸留で除去し、再生します。

※2 ホット機:洗いと乾燥が1台の機械で、連続して行えるドライクリーニング機械
【ドライの品質管理】
石油のコールド機では洗浄品質を安定的に維持するために、溶剤中のソープ濃度や水分量、溶剤の透過率などを定期的に測定し、管理します。
ドライ溶剤の定期管理項目
| 管理項目 | 基 準 |
| 洗剤濃度 | メーカー指定濃度 |
| 酸 価※3 | 0.3未満 |
| 透過率※4 | 60%以上 |
| 水 分 | 500ppm未満 |
※3 酸価:溶剤に溶け込んでいる油性汚れの量を示す指標 ※4透過率:溶剤の着色度合いを表す
さらに、ドライクリーニングの優れた洗浄性を維持管理するため、「人工汚染布」を用いた洗浄試験を実施します。人工汚染布とは、ウールやポリエステルなどの白布に固形汚れや水溶性汚れを付着させた試験布です。洗浄前後の光の反射率を測定し、その差を比較することで、洗浄力を数値として評価します。
人工汚染布

ドライ溶剤の洗浄力を比較すると、樹脂溶解力や比重が大きいパークのほうが石油系溶剤よりも汚れをより多く落とします。このため、着用頻度が高く、汚れが多いスーツや学生服はパークでのドライクリーニングが適しています。

2024年度末時点での日本国内におけるドライ機の溶剤別割合は、石油機が91%(15,152台)と大半を占めています。パーク機が7%(1,084台)、製造中止となっているフッ素系溶剤のフロン機が2%(168台)です(厚生労働省調査)。残念ながら日本では、洗浄性に優れたパーク機の割合が非常に低い状況です。

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