衣類のシミ

衣類のシミは、一般的には局部的な汚れの付着を指しますが、クリーニングの分野では次のようにも定義できます。


汚れとシミの違い

・汚れ:通常のクリーニングで除去できるもの

・シミ:通常のクリーニングでは除去できず、「シミ抜き」が必要なもの

※シミは熱が加わると除去しにくくなるため、原則としてクリーニング前にシミ抜きを行います


衣類に付くシミには、さまざまな成分が含まれています。

複数の成分が含まれる衣類のシミですが、個々の成分に着目すると、一般の汚れと同様に、水に溶ける「水溶性のシミ」、溶剤に溶ける「油性のシミ」、水にも溶剤にも溶けない「不溶性のシミ」に分類できます。それぞれ性質が異なるため、クリーニングではシミの特性に合わせて、「シミ抜き」処理を行います。

・水溶性のシミ(汗、緑茶、コーラ)

・油性のシミ(アイスクリーム、カレー)

・ 不溶性のシミ(泥はね)

※シミ抜きでは性質の異なる複数の成分を除去するため、原則として、油性➡水溶性➡不溶性の順に処理します。


水溶性のシミ

  • 水溶性のシミは、新しい食べこぼし・飲み物・血液・汗などで、水に溶けやすく、溶剤には溶けません。
  • 水溶性のシミは液体の状態で付着し、新しいシミは乾いていると目立たない場合が多く、古くなるとはっきりと目立ってきて、黄色または茶色に変色します。
  • 付着してから数か月後には水に溶けにくくなり、水洗いでもドライクリーニングでも除去できず、水溶性汚れ用の「シミ抜き剤」で除去します。

水溶性のシミの種類

しょうゆ、ソース、みそ汁、ビール、日本酒、洋酒、お茶、ウーロン茶、牛乳、乳製品、コーラ、サイダー、コーヒー、紅茶、ジュース、血液、汗、尿、糖類、でんぷん、たんぱく質、塩類、泥シミなど


油性のシミ

  • 油性のシミは、油脂(植物油脂、動物油脂)、鉱物油、または油に他の物質が混じった汚れで、溶剤に溶けやすく、水には溶けません。
  • 新しい食用油のシミは、淡黄色で織り目に沿って、放射状に広がっています。塗料、絵の具、クレヨン、彩色ペンなどのシミは、織物表面に盛り上っています。
  • 時間がたったシミはドライクリーニングでは除去できず、油性汚れ用の「シミ抜き剤」や各種の溶剤で除去します。

油性のシミの種類

皮脂、機械油、グリース、食用油、ペンキ、ラッカー、ニス、ボールペン、マジックインキ、スタンプインキ、朱肉、油絵の具、口紅、マニキュア、チョコレート、アイスクリーム、化粧品、油を含んだ料理汁など


不溶性のシミ

  • 不溶性のシミは、水にも溶剤にも溶けません。潤滑剤などを利用して物理的に繊維から揉み出したり、たたき出したりして、不溶性汚れ用の「シミ抜き剤」で除去します。
  • たんぱく質のシミは酵素で分解、サビは酸で溶解、マニキュアは有機溶剤で溶解、色素は漂白剤で色を抜きます。

不溶性のシミの種類

ほこり、すす、墨汁、泥はね、粘土、セメント、金属粉、顔料など

化学薬品を要する不溶性のシミの種類

酸化した油シミ、酸化した汗シミ、鉄サビ、緑青、色素、マニキュア、染料、カビ、古くなって変質した食べ物(固着した蛋白質等)・飲物のシミなど


シミの経時変化

クリーニングで、新しいシミを取り除くのは通常それほど難しいことではありません。しかし、シミは時間が経過すると、空気中の酸素によって酸化して除去し難くなります。

シミの酸化を加速させる要因は温度と湿気で、特に高温多湿の場所での保管は酸化を急速に促進させます。また、紫外線を浴びると化学反応が促進され、シミの褐色化が速まります。

さらに、熱が加わったり、酸やアルカリに接触したりすると、変化してより除去しにくくなります。


シミの経時変化(経験則)

  • 数時間以内:シミの成分がまだ繊維の表面付近にあり、水洗いで除去しやすい状態。
  • 数日〜数週間:酸化が始まり、「血液」は酸化して鉄分が黒ずみ、たんぱく質が固化し始めて、黄色っぽく変色します。
  • 数か月以上:汗、皮脂、食べこぼしなどが完全に酸化・固着し、繊維そのものを褐色に変色させ、洗濯で落としきれず、生地の脆弱化(脆化)も引き起こす。

商品テスト(一般社団法人 北海道消費者協会 商品テストより抜粋)

  • 綿白布に、「しょうゆ」「コーヒー」「ぶどうジュース」「カレー」を付着させた汚染布を、1日(24時間)、1か月(30日)、 6 か月(180日)、1年(365日)経過したものを洗濯し、洗浄率を測定した。
  • 洗濯方法は 液体合成洗剤を標準使用量入れた1リットルの水に汚染布を入れて20分間かくはん後、2回すすぎ、自然乾燥した。

汚れの付着時間の違いによる洗浄性

食品汚れは付着時間が長くなるほど洗浄率が低下し、除去しにくくなる。長時間放置されている間に酸化や変質し、除去しにくくなったと考えられる。

  • しょうゆの中のアミノ酸と糖は、酸化を伴う「メイラード反応※」で、メラノイジンという茶褐色の物質をつくり、 色が濃くなり、落ちにくくなる。

※:メイラード反応:パンの焼き色、ステーキの焦げ目、コーヒーや味噌の褐色と香りは、この反応によるもの

  • コーヒーはタンニン系の色素汚れで、時間がたつと繊維の中まで入り込み、落ちにくくなる。
  • ぶどうの皮に含まれているアントシアニンという色素は、時間がたつと酸化し、落ちにくく なる。

  • カレーは油脂、タンパク質、デンプンなどの複合汚れで、ウコンは時間がたつと色素が定着する。

シミが付いた直後の応急処置取扱いは、シミ除去に有効です。

  • むやみにこすったり、揉んだりしない。絹、レーヨン、毛は特に注意!
  • 水で濡らすとシミが広がるので、乾いた布を押し当てて吸い取る。
  • シミが広がらないように拭き取り、必要に応じて、硬く絞った布でたたく。
  • ドライヤーやアイロンなどで、熱をかけない。

時間が経ち、酸化したシミは通常の洗濯では落ちません。家庭での対処方法は以下のとおりです。

  • 付着から6ヶ月経過すると除去率が大きく下がるため、気づいたらすぐに落とす 。
  • 40〜50℃のぬるま湯に酸素系漂白剤を溶かし、20分〜6時間ほどつけ置きする。
  • 長期間の保管前には、洗濯しても汚れが残る可能性があり、襟や袖口は念入りに漂白する。  

まとめ 

シミはできるだけ早く応急処置行い、シミ抜き処理をすることが重要です。

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