ビッグマック指数

「ビッグマック指数」という指標があります。イギリスの経済専門誌「The Economist(エコノミスト)」が考案し発表しています。

ビッグマック指数は、「マクドナルドのビッグマックは世界各国でほぼ同じ原材料でつくられており、各国の物価の比較にふさわしい」という考えに基づいた指標です。アメリカとそのほかの国のビックマックの価格を比較し、それらの国の通貨の購買力の格差を知ることができます。

世界のビッグマック価格ランキング(対象54ヶ国、2025年1月)

2025年1月に発表されたビッグマック指数を見ると、最も高いスイスは日本の約2.5倍、ヨーロッパは約2倍で、日本のデフレによる経済力の衰退を実感します

クリーニング料金

 それでは、クリーニング料金はどうでしょう?日本とドイツ、フランス、アメリカのシャツ及びジャケットとパンツのクリーニング料金を比べると、以下のようになります。

クリーニング料金比較(単位:円)

シャツ ジャケット+パンツ
安価 高価 安価 高価
日本 126 347 907 2,101
ドイツ 428 1,284 2,225 4,279
フランス 1,027 2,567 3,594 10,268
アメリカ(ニューヨーク) 882 2,352 6,028 13,527

€=171.14(2025/8/22 06:30現在)、$=147.03(2025/8/29 08:00現在)

日本:総務省統計局「小売物価統計調査」2025年1月-7月より    ヨーロッパ:ドイツBÜFA社 Dr.JÖrg Schwerdefegertより     アメリカ(ニューヨーク):㈱三幸社 クリーニング紀行より

  日本の「シャツ」のクリーニング料金を100とした場合、各国のクリーニング料金は以下のとおりです。

「シャツ」のクリーニング料金比較(日本を100とした)

シャツ(安価) シャツ(高価)
日本 100 100
ドイツ 340 370
フランス 815 740
アメリカ 700 678

 「シャツ」のクリーニング料金は、フランスでは日本の7~8倍に、ニューヨークでは日本の約7倍になります。比較的安価なドイツでも、日本の3~4倍になります。

 日本の「ジャケット+パンツ」のクリーニング料金を100とした場合、各国のクリーニング料金は以下のとおりです。

「ジャケット+パンツ」のクリーニング料金比較(日本を100とした)

ジャケット+パンツ(安価) ジャケット+パンツ(高価)
日本 100 100
ドイツ 245 204
フランス 396 489
アメリカ 665 644

「ジャケット+パンツ」のクリーニング料金は、フランスでは日本の4~5倍に、ニューヨークでは日本の6~7倍になります。比較的安価なドイツでも、日本の2~4倍になります。

 ビックマック指数が、ヨーロッパは日本の約2倍であるように、日本のクリーニング料金が他国と比べて安価であることがわかります。

価格の推移

 日本のビックマックの価格の推移はどうでしょう?

 1990年代にデフレを経験し値下げしていますが、2005年からは価格上昇に転じています。特に2022年からの価格は急激に上昇しています。

 日本のクリーニング料金の推移はどうでしょう?

 総理府統計局の「小売物価統計調査」を基に、クリーニング料金の全国平均をグラフにすると、以下のようになります。

総理府統計局「小売物価統計資料」より全国平均

 背広上下のクリーニング料金は約30年で十数%値上がりしていますが、ワイシャツのクリーニング料金は数%も値上がりしていません。

 クリーニングには当然、洗濯資材、包装資材、電気、蒸気、水、人件費、機械の償却費などの経費が掛かります。クリーニング業界も「失われた30年」でしょうか? 集客のための値下げ競争の結果でしょうか?

以上

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