ランドリーの品質管理

 クリーニング工場のランドリーでは、綿やポリエステル混のワイシャツ、作業用ユニフォーム、白衣などを洗い、仕上げをします。ランドリーは洗浄性に優れ、襟垢汚れや袖口の汚れ、飲食物の簡単なシミ、塵埃や土砂など、ほとんどの汚れを除去できます(頑固なシミや古くなったシミは除く)。

 ポニークリーニングでは、ランドリーの優れた洗浄性を安定的に維持するため、「人工汚染布」を用いた洗浄試験を実施し、管理しています。

1. 人工汚染布

 綿やポリエステルなどの白布に、代表的な衣類の汚れを付けて、汚れ落ち具合の客観的な評価の指標とするのが「人工汚染布」です。

 人工汚染布に付着させる汚れは、汚れ除去の程度を測るための「油性汚れ」、「タンパク質汚れ」、「血液汚れ」など、漂白の程度を測るための「紅茶」や「ワイン」などです。

  汚染前の白布の「白さ」を汚れがない状態として、クリーニング前と後の汚染布の汚れ状態の差から、洗浄率(汚れ落ちの程度)を算出し、数値化します。

  

2. 汚れ落ちに影響する要素

ランドリーの洗い工程で、汚れの除去に影響する4つの要素があります。水深、温度、時間、資材です。

■ランドリーの水深
つまり水の量は、機械力の大きさと洗剤濃度に関係します。水の量が多すぎると洗濯物が泳いでしまい、汚れが除去できません。また、洗剤の量も多くしなければなりません。適度の水量で洗うことで、洗濯物にかかる機械的な力(汚れを落とす力)が適切になり、洗剤量も適量になります。

ランドリー水の温度
汚れ自体への影響と、洗剤や漂白剤が汚れに作用する速度に関係します。汚れの性質から、タンパク質汚れは低温で、油汚れは高温で処理する必要があります。また、漂白剤が効果を発揮するには、高温での処理が必要です。

■ランドリーの洗いの時間
機械力や洗剤・漂白剤の作用時間に関係します。洗いの時間は長ければよいわけではなく、洗剤の汚れを落とす力は限度があり、洗剤の効果がなくなると、汚れが洗濯物に再付着して汚してしまいます。洗いは適切な時間が必要ですし、漂白剤の作用にもある程度の時間が必要です。

■ランドリーの資材
特に洗剤と漂白剤は重要な要素です。適切な製品を選定し、適切な量を添加し、適切な温度と時間で作用させることが必用です。

3.ランドリーと家庭洗濯

 以上の4つの要素が適切であれば、最適なランドリーの洗浄ができます。最適なランドリーの洗浄と家庭洗濯と比較すると、汚れの除去に於いて、大きな差が確認できます。以下のグラフは、ポニークリーニングのランドリーと家庭洗濯(粉末洗剤、液体洗剤)の汚れ落ちの程度を、人工汚染布を用いた試験で数値化したものです。

ポニークリーニングのランドリーでは、大型のランドリーワッシャーを使い、洗剤だけでなくアルカリ剤や漂白剤を添加し、適切な水量・適切な水温・適切な時間で、洗いと漂白処理を行います。その結果、真っ白に洗いあがったワイシャツが、お客様に提供できます。


投稿者:ポニークリーニング生産部 技術顧問 高坂 孝一 
1956年生まれ。群馬大学工学部繊維高分子工学科を卒業後、1979年株式会社白洋舍に入社。関連会社の共同リネンサプライ株式会社を経て1983年より白洋舍洗濯科学研究所に所属。2001年より同研究所所長に就任。2021年株式会社白洋舍を退職後、2022年9月よりポニークリーニング生産部の技術顧問に就任。